和の心
利休七則(りきゅうしちそく)
茶の湯を学ぶ者にとって基本の心得を利休七則といい、「茶は服のよきように点て、炭は湯の沸くように置き、花は野にあるように、冬は暖かに夏は涼しく、刻限は早めに、降らずとも雨の用意、相客に心せよ。」と定めています。
これらの言葉には、茶の湯の諸事万事がいかに客のことを考えたもてなしを第一として心がけられているかを見ることができます。
- 「茶は服のよきように点て」
- 時と場所を含め、相手の状況や気持ちをよく考えてお茶を点てるよう戒めています
- 「炭は湯の沸くように置き」
- 茶の湯では、炉や風炉の湯がしんしんと沸くことをもてなしの一つとして大切にしています。その音ももてなしの一つになっています。このような湯が沸く状況を作るための準備として炭の置き方を注意するよう戒めています。
- 「花は野にあるように」
- 花を生けるとき、野に咲いていたことを思い起こさせるような生け方をするよう戒めています。野にあるままに、写真のように生けるのではなく、野にあるその本質を表現するように生けることが大切だと戒めています。
- 「冬は暖かに夏は涼しく」
- エアコンで適温を作れるような温度調整をするようにと言っているのでは全くなく、暖かさや涼しさを感じさせる色、音、お道具、お菓子など、人間の五感に訴える環境をしつらえてもてなしをすることを戒めています。自然と共に生きている日本ならではのおもてなしの心といえます。
- 「刻限は早めに」
- 平常心をもって接客できるよう、常に心に余裕をもてるような時の準備をもつことを戒めています。
- 「降らずとも雨の用意」
- 客の憂いをとりはらうような心遣いをもって、不足の事態にそなえるよう準備するよう戒めています。
- 「相客に心せよ。」
- お茶席で同席した人には、気遣いや思いやりの心をもって相対するよう戒めています。
和敬清寂
茶道の一番大切なことが「四規」としてまとめられています。四規には、茶の湯で客をもてなすときに大切な、人との関わり方について重要となる要素を見ることができます。これは、真の人間関係をつくっていくときにとても大切な要素と言えます。
- 「和」
- お互いに心を開いて仲良くすることです。この先には平和があります。
- 「敬」
- お互いに敬いあうという意味です。目上の人や家族、友だちみんなそれぞれ尊重しあうことで、人間関係を大切にすることができます。
- 「清」
- 目に見えるものだけでなく、心もにごりがない清らかな状態のことです。曇りのない目で人や事と相対することで、本当の姿や物事の本質が見えてきます。
- 「寂」
- どんなときにも動じない心です。どんなときにも平常心をもつことで、余裕を持って相対することができます。
一期一会
一期一会とは、「お茶を点てる人、いただく人が、お互いの気持ちを大切にして、その一時を過ごす。今日の出会いは、二度とない機会であるという真剣な気持で茶会にのぞむ。」というように、茶の湯に同席する人みんなの心構えを説いています。
お茶会は何度もあり、同席する人も同じ人たちがいるかもしれません。しかし、その時、その場所、その季節、その顔ぶれ、それらは、その時にしか体験することはできません。だから、その時の出会いを大切にして、臨みましょうという戒めになっています。
この出会いを大切にする心は、出会ったその場、その時、その人たちとの空間で繰り広げられるコミュニケーションに生かされ、亭主はおもてなしの心や思いやる心でさらによりよい出会いの場を演出し、その場に集まった人たちの関係を紡いでいきます。
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